2024.09.05
ピラティスとヨガの違い
はじめに
「ピラティスってヨガと何が違うの?」
「ヨガはやったことあるけど、ピラティスもできる?」
「私がやるならヨガとピラティスどっちがいいの?」
このような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか?
ピラティスは、さまざまな運動やエクササイズの良いところを取り入れ、独自に発展したメソッドです。ヨガと似たところもありますが、目的ややり方に違いもあります。それぞれの違いを詳しく解説していきます。
⒈歴史と起源
ヨガの歴史
・ヨガは紀元前4世紀ごろ:インドで始まったとされています。当初:ポーズ中心ではなく、瞑想や坐法を通して心身を鍛える修行法として行われました。
・当初:ポーズ中心ではなく、瞑想や坐法を通して心身を鍛える修行法として行われました。
・現在:ポーズ(アーサナ)と呼吸法(プラーナーヤーマ)を組み合わせたフィットネス要素が加わり、ストレッチやエクササイズのように親しまれています。
ピラティスの歴史
・ピラティスは20世紀初頭:ドイツで産まれたジョセフ・ピラティスが考案しました。ピラティス氏は幼い頃から病弱だったため、強い身体になるために体操やボクシング、ヨガ、禅、スキーなどあらゆるトレーニングに取り組み、健康な身体を手に入れました。
・第一次世界大戦時:ピラティス氏はイギリスの島に勾留されました。勾留中にこれまでに自身がしてきたトレーニングをアップデートし新たなエクササイズを考案しました。また、負傷者のリハビリのために収容所のベッドを改良してスプリングを使った器具を作り、エクササイズを指導していきました。
・戦後:ニューヨークへ渡り、看護師の妻と共にスタジオを開きました。スタジオの隣では、バレエ団がリハーサルを行なっており、怪我をしたダンサーがピラティス氏のスタジオへ来てリハビリをしていました。怪我のリハビリや予防に効果を出したピラティス氏のメソッドは、ダンサーたちの中で評判になり、ピラティス氏は様々な器具を作り出し、ピラティスを広めていきました。
現代:ダンサーやバレリーナから広まり、1990年代にハリウッド女優やモデルがピラティスを始めたことをきっかけにブームとなり、一気に需要が高まりました。日本では、コロナによりグループレッスンからパーソナルレッスンの需要が増えたことや、SNSを通じてピラティスがより広まり、近年需要が高まっています。
発祥の歴史から分かるように、ヨガの方が歴史が古く、ピラティス氏自身もヨガをトレーニングとして行なっていたことから、ピラティスメソッドにもヨガが取り入れられていると思われます。ヨガは瞑想や哲学の思想が強くあるのに対し、ピラティスは身体を健康にしたり、リハビリのために始まったものでした。
⒉目的と効果
ヨガの目的と効果
・リラクゼーションや心身のバランス調整。精神的な安定や自己探求を重視します。
・ポーズをとることで柔軟性の向上、バランス能力の向上を目指します。
・ヨガのポーズは筋肉を伸ばして長くし、全体的な柔軟性を向上させます。
・呼吸を整えながら自分と向き合うことで、ストレス軽減や集中力の向上、内面的な気づきを得ることが期待されます。
・瞑想を通じて自己探求やマインドフルネスの一環としても取り入れられます。
ピラティスの目的と効果
・身体の動きを自分でコントールできるようになることです。
・体幹を中心にコアの筋肉を鍛え、姿勢を改善します。
・背骨の柔軟性を獲得し、無理のない動きができる身体を作ります。
・身体のコントロールができるようになることで、スポーツや趣味のパフォーマンスの向上が得られます。
・肉体的な改善だけでなく、自分の体の動きに集中するということで、“今、ここ”に集中しマインドフルネスの効果もあります。
⒊呼吸の違い
ヨガの呼吸
ヨガは腹式呼吸:ヨガには目的に応じた様々な呼吸法があるそうですが、基本的には「腹式呼吸」。
呼吸の目的:体のリラックスと精神の安定を目指します。ポーズに合わせてゆっくりと呼吸することで、心身の調和をはかり、ストレス解消効果を高めます。
ピラティスの呼吸
ピラティスは胸式呼吸:鼻から胸に向かって吸い、口をすぼめて吐きます。
呼吸の目的:呼吸時に動く肋骨や鎖骨、その周囲の筋肉を動かすことを目的とします。また、呼吸時に首肩周りに過度な筋肉の緊張が入らないようにするためや、コアの筋肉がエクササイズの中で効率よく働くようにするためです。
ヨガは、精神の安定や心身の調和のために呼吸を行いますが、ピラティスでは精神性は関係なく、体の動きを解剖学的に考え、呼吸時に正しく骨や筋肉が働くことができるようにするために呼吸を用います。高齢になると、背中が丸まり筋肉が硬くなり呼吸が浅くなりやすいです。そうならないためにも、正しい呼吸ができるようになることが必要です。
⒋動きの違い
ヨガの動き
スタイル:静止したポーズを保持するものや、流れるようにポーズを繋ぐものなど、流派によって異なります。
特徴:・柔軟性とバランスを高め、ポーズを通じて心を落ち着かせることが重要視されます。ポーズは長く保持されることが多く、柔軟性とバランスを重視します。
・ヨガは先生のポーズを見て真似をすることが多いため、どんな動きをすればいいのかが分かりやすいです。
ピラティスの動き
スタイル:フロー(流れ)を重要視し、流れるように動き続けるものや、一つ一つの動きを区切り、インストラクターから動きについてのフィードバックを入れたり、動きを感じながら進めるものなど流派によって異なります。(芯BODYでは後者のスタイルです。)
特徴:・動きをコントロールしながら行います。ポーズをとって止まるということはなく、動きを繰り返します。インストラクターが動きを確認し、細かく修正を行います。自分自身の体をコントロールする意識が求められます。
・ピラティスは、動きの結果のポーズが重要なのではなく、動きの過程を見ています。インストラクターはお客様の動きの観察をしているため、基本的に一緒に動きながらレッスンをすることはなく、お客様に動き方を口頭や身振りで伝えながら動いてもらうことが多いです。そのため、集中力が必要となります。
⒌道具や器具の違い
ヨガの道具
ヨガでは、主にマット上で行うエクササイズが中心となります。
ピラティスの道具と器具
・ピラティスでは、マット上で行うエクササイズがありますが、専用の器具を使うこともあります。これはどちらが簡単ということではなく、そのお客様にどんな動きを出したいのかによってインストラクターが選択します。
・器具は、スプリングを使用したもので、スプリングを使うことで負荷を加えたり、引っ張る力を補助として利用することができます。そのため、運動初心者の方からアスリートまで様々な方に対応したレッスンが可能となります。
・芯BODYでも、器具を設置していますので、お客様の状態に応じたエクササイズが可能です。
・また、バランスボールやゴムバンド、フィットネスサークルなど小物も多く使用します。これらは、自分の動きを確認したり、修正したりするために使用することが多いです。また、自宅に帰ってからもこれらの小物があれば、専用の器具を使わなくても動きを練習することができます。
⒍理学療法士として、ヨガではなくピラティスを選んだワケ
個人的なヨガの感想
私は作業療法士の先輩がヨガインストラクターを始め、その方にヨガを習いに通っていたことがあります。流れるように先生の真似をして、ポーズをとり、最後には瞑想の時間がありました。当時は仕事の後に通い、毎回瞑想の時間に眠ってしまっていたのを覚えています。理学療法士という職業柄かもしれませんが、それぞれのポーズをとる意味は何なのか、何に効果があるのか、続ければ効果がわかるかもと思っていましたが、思っていたほど体は変わらず途中で挫折しました。
私が、整形外科クリニックに勤めていた際、ヨガをしていて肩や股関節が痛くなったと来院される患者さんを何名か担当しました。その方達は確かに可動域は広く、関節が柔らかいのですが、どこまで伸ばせばいいのか分からず、ひたすら柔らかくしようを頑張った結果痛みにつながっていました。ヨガの流派や先生によると思いますが、柔軟性を出すことを目的にしすぎると、怪我の原因になってしまうことがあると思います。
個人的なピラティスの感想
ピラティスは、リハビリにも使えると聞き、自分でスタジオを探して行きました。初めて体験したとき、自分の体がいかにコントロールできていないのかを強く実感し、このように感じることが面白いと思いました。自分の体とこんなに集中する経験がなかったため、新鮮でした。それがきっかけでピラティスを学び始め、一方、ピラティスは解剖学や運動学の理論に基づいているため、自分の専門知識と合致し、続けることで効果を実感しています。また、ピラティスは解剖学や運動学の理論に基づいているため、自分の専門知識と合致し、続けることで効果を実感しています。
ピラティスでは、柔軟性や可動域は柔らかいほどいいとは考えておらず、すべての動きがコントロールできることを目指します。柔らかすぎると怪我につながる可能性があるため、必要な可動域で止めるという筋肉の使い方も必要です。怪我の予防やリハビリにも効果的なところなどからピラティスを学ぶことを選びました。
まとめ
ヨガ
・ヨガは哲学や思想が元になったもの。修行の心身を鍛えるために始まったもの。
・精神面の安定や心身の調和を重視し、リラクゼーションや柔軟性向上が主な目的。
・柔軟性とバランスを高め、ポーズを通じて心を落ち着かせることが重要視されます。
・主にマット上で行うエクササイズが中心
ピラティス
・健康な身体を作るため、様々なスポーツやエクササイズを取り入れたもの。
・リハビリや怪我の予防にも使われていた。
・体幹強化や正しい身体の動かし方を学ぶことが目的
・専用器具を用いるため、難易度の調整が可能。
ヨガ、ピラティス、自分に合ったエクササイズを見つけてみてください!